本庒篤子(ほんしょう あつこ)プロフィール



  福岡県北九州市生まれ。東京藝術大学付属音楽高等学校、同大学音楽学部器楽科(ヴァイオリン専攻)卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。NHK・毎日新聞社主催全日本学生音楽コンクール西部1位。在学中よりNHK「新人演奏会」、NHKFM/TV出演、藝大フィルハーモニア、東京交響楽団、新星日本交響楽団(現、東フィル)等とシベリウス・メンデルスゾーン・ブルッフ・チャイコフスキー・ベートーヴェンの協奏曲を協演。
 198892年草月ホール、199909年まで毎年、2013年、銀座王子ホールにてヴァイオリンリサイタルを開催I~X II
2004年「本庒篤子・リマト室内合奏団」を主宰し、毎年銀座王子ホールにてコンサートを開催(I~X I)。これまでの演奏会、ライブ録音のCDは音楽専門誌の批評でも高く評価されている。東京ゾリステンコンサートマスターとして、国内外で多数のコンサートに出演。   
ベルリンフィル・元首席オーボエ奏者 H.シェレンベルガー氏とバッハ:オーボエとヴァイオリンの為の協奏曲を共演。2017年より「う・ら・らクラシックコンサート」をシリーズで開催。
 1986年より30年間(公財)ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉のコンサートマスターを務める。2016年より(公財)千葉交響楽団名誉コンサートマスター。
その他「リマト室内合奏団」コンサートマスター、他オーケストラのゲストコンサートマスター、ソリスト、室内楽奏者としても幅広く演奏活動を続けている。兎束龍夫、海野義雄、服部豊子、ジャン・ローラン、森悠子の諸氏に師事。ザルツブルクにてF・サモヒル氏に師事。学内にてアイザック・スターン、ミシェル・オークレルなどの公開レッスンを受ける。 
   2000年度千葉県文化功労受賞。
 


(沼田 武 元千葉県知事より文化功労の賞状を授与される)

(ヴァイオリンリサイタル 銀座王子ホール)


リサイタル音楽評論(「音楽現代」誌 掲載)

本庄、篤子ヴァイオリンリサイタル

 ニューフィル千葉のコンサートミストレスを務めると共に、リマト室内合奏団を率いる気鋭のヴァイオリニスト本庄、篤子が、徳川眞弓のピアノ伴奏により久しぶりに本格的なソロリサイタルを開いた。まずベートーヴェン/ソナタ第5番ヘ長調「春」はこの曲のイメージ通りの明快な、というより質実剛健なベートーヴェン。実に滋味豊かな名演だった。次のシュニトケ/ソナタ第1番は十二音技法を用いた現代物ながら著しく内容主義的、フランクの現代版のような低徊趣味な所もあるが本庄が渋く凄絶に抉り抜いた。フィナーレも快刀乱麻を断つような鮮烈な名演。
後半は定番フランク/ソナタイ長調。これまた貴婦人然として気品をもって、しっとりと歌い抜かれた第1楽章がまず素晴らしく、第2楽章もピアノこそやや弱さを感じさせたものの雄弁の窮み。第3楽章の迷路のような徘徊は力強く、フィナーレの華やいだ雰囲気も絶品。鳴り止まぬ拍手に応えアンコールに「ヴォカリーズ」「ユモレスク」「愛の悲しみ」(4月28日、王子ホール)(浅岡弘和)

本庄、篤子ヴァイオリンリサイタル

多方面で活躍中の本庄、篤子のリサイタル。プログラムはドイツものとショスタコーヴィッチ。ドイツもの2曲、まず、シューマンのソナタ第1番は渋めの音色だが、連綿たる叙情的な表情、楽章を重ねるにつれて高まりゆく情熱が感じられた。もう1曲はブラームスの3番のソナタ。第1楽章ではきりりとした表情、ときに細かいヴィブラートできらめき、合間の暗がりと対照をなした。第2楽章はやわらかく、甘く、陰影も漂わせ、第3楽章もやわらかな音色で旋律的、第4楽章はヴィルトュオーソ的で、高揚感も充分だった。
ショスタコーヴィチのソナタは高い集中力で、第1楽章ではハーモニスクや重音などが見事なテクニックで奏され、その上、雄弁で真に迫る表現、第2楽章は無窮動的に邁進し、高みへと昇り、第3楽章でがひとつひとつの音を丁寧に、独特な世界を表現した。(4月26日、王子ホール)(菅野靖彦)


(本庄、篤子・リマト室内合奏団)